嫌な記憶を必ず消す方法（消したくない記憶も消せてしまうので注意！！）　～記憶をポジティブイメージで上書きする～

怒りや悲しみの対処法
「破壊的な内省」と「破滅的な反芻」
記憶を生理的反応を用いて治療（消去）する方法
トラウマ記憶を消す方法
具体的な手順の紹介
縁切り神社やお祓い、お遍路、巡礼も仕組みは同じ

　誰しも嫌な経験、思い出したくない経験をしたことがあると思います。

怒りや悲しみの対処法

　基本的に怒りや悲しみに遭遇してしまった際は、「距離を置く」、「一晩眠る」、「リラクゼーション（深呼吸）」、「文章にする」、「スイッチ（相手の立場を想像する」、「ストップ（自分自身に「ちょっと待て」と言う、手を叩く）」、「テンカウント（相手から目をそらし10数える）」などが有効とされています。

　しかし、そもそもそういった記憶を忘れられずに困っているという方も多いのではないのでしょうか？

「破壊的な内省」と「破滅的な反芻」

　実は人間の脳には過去の嫌な経験、記憶を何度も思い出し、反芻するという悪しき習慣があります。　→　多くの人がやってしまう「破壊的な内省」と「破滅的な反芻」｜こしあん｜note　　

組織心理学者のターシャ・ユーリックの調査では、よく反芻する人は自分の生活や関係に満足している割合が低く、自分の運命をコントロールできないと感じ、全体的に幸福度が低いということがわかっています。

その他の研究でも、反芻は成績の低さや、問題解決の低下、気分の悪化、質の悪い睡眠と結びついていることが示されています。
寝る前に昼間のことを思い出して、寝れなくなったりする人も多いと思います。
なので、一番いいのは「何も考えずに寝る！」です(笑)。

また、精神的にも良くないことがわかっています。
鬱になっている人は、反芻する思考パターンに陥りやすく、より自分の落ち込みに目がいくようになり、結果として気分が悪化してしまいます。
反芻は、鬱でなくてもストレスや不安を高めやすいということもわかっています。

　記憶を反芻してしまい、何年も嫌な記憶を思い出してしまう方もいらっしゃることでしょう（私がそうです）。

記憶を生理的反応を用いて治療（消去）する方法

　しかし、実は記憶というものは実は簡単に消す方法があります。

嫌な記憶はどうすれば消えるのか？ – 早稲田ウィークリー

驚くべきことに、再固定化の際にタンパク質の合成を阻害する薬を扁桃体に注射すると、想起された記憶（ここでは特定の恐怖反応）のみが消えてしまう。人間の場合は、当然脳内への薬の注射はできないが、例えば、高所を思い浮かべて強い恐怖を体験している時に、交感神経の働きを抑えるプロプラノロールという薬を静脈注射すると、再固定化が抑えられる可能性が示されている。

　ただし、トラウマ記憶を消すためには、トラウマ事象の直後に投与しないと効果がありません。

　現状、再現性がある事象、つまり蜘蛛や蛇を実際に見せた（触れた）直後に注射することで、蜘蛛恐怖症や蛇恐怖症などを治すというような事例でしか、うまく成功していないらしいです（TVで実例を観ましたが、完全に嫌悪感を消せていてすごかったです）。今のところ恐怖症の治療でしか実証できていません。

　　　　　記憶が存在する場所〜日経サイエンス2015年6月号より | 日経サイエンス

10年以上前，PTSDの治療に「プロプラノロール」という薬を使う研究が始まった。プロプラノロールは，長期記憶の保存に必要なタンパク質の産生を邪魔することによって，記憶形成を阻止すると考えられていた。だが残念なことに，この研究はすぐに暗礁に乗り上げた。トラウマ事象の直後に投与しないと効果がなかったのだ。

トラウマ記憶を消す方法

ではどうするかというと、まず言語隠蔽効果（Verbal Overshadowing effect)で、非言語的記憶を言語的記憶で上書きし、更に想起した際にポジティブイメージで介入するという方法です。

　　　人の顔を覚えるときは言葉にしてはならない！「言語隠蔽効果」とは何か | バイオの杜

言語隠蔽効果

　「言語隠蔽効果」と呼ばれる現象が知られています。色や味覚、嗅覚など言語化しにくいものを、あえて言語で記述してしまうと記憶が歪んでしまう現象のことです。

　　　　PTSD の記憶障害　―― 意図的想起と無意図的想起における問題とその介入1) ――　松本昇　日本学術振興会/筑波大学　　https://www.jstage.jst.go.jp/article/sjpr/58/4/58_451/_pdf

Arntz (2012) によれば，トラウマに怒り感情や恥感情，罪悪感情が伴う場合には，それらの感情をポジティブイメージで上書きすることが特に効果的であり，Imagery Rescripting が有用であるという。また，恐怖の消去手続きにおいて，無条件刺激に対する Imagery Rescripting を施しておくと恐怖反応の再発が起こりにくくなるというデータもある (Dibbets, Poort, & Arntz, 2012)。